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舞台美術録

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入澤サタ緋呼
1988年友惠しづねに師事。舞踏家。舞台美術の制作にも携わる。'90年アメリカ政府・USIAプロジェクトによりMore...

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2006/10/26 15:21

舞台美術の安全性について「防炎加工」

今回は、舞台美術の防炎加工について書いていきます。

公演のために布や木材などで制作された舞台美術は、舞台設置の前に防炎加工をする必要があります。

消防法では、高層建築物、地下街、劇場、旅館、病院、その他の政令で定められた防火対象物にて使用する、どん帳、カーテン、展示用合板、その他これらに類する物品などは、政令で定められた基準以上の防炎性能を有することが義務づけられているからです。

国により消防法の規制内容は異なるようですが、劇場によっては舞台美術の防炎性能証明書を提出させるところもありますし、時には抜き打ち検査が入り検査員の方がライターで防炎性をチェックする話も聞いたことがあります。

ニューヨーク、ジョイス・シアター公演の際は、抜き打ち検査はありませんでしたが、事前に防炎性能証明書の提出を要求されました。

そこで、消防庁認定の専門業者によって防炎加工済みの舞台美術幕を管轄の財団法人日本防炎協会に防炎試験をしてもらい、幕のサンプルを貼付した試験成績書を英訳版で発行してもらったこともあります。

特に劇場は、大勢のお客様が客席に座られ、身動きも取りづらい状態のうえ、照明を暗くして扉を閉め切ります。

そのような状態の中、火災予防はお客様の安全確保のためには大変重要なことになります。

証明書を提出させることにも、その劇場のお客様への安全に対する姿勢がうかがえます。
         
防炎加工


みなさんもどこかの施設などでカーテンやカーペットにこんなラベルがついているのをご覧になったことがありますでしょうか。

国内で防炎加工済みの物には、日本防炎協会発行の防炎ラベルが取り付けられます。

しかし、この防炎ラベルが付いていても、これはあくまでも防炎性能があるということであり「燃えない」ということでは決してありません。

舞台美術を防炎加工したとしても、まず火種を絶対出さないということが最重要なことになります。

これから冬に向けて空気が乾燥します。

舞台も日常も火の用心。カチ!カチ!!


執筆:入澤サタ緋呼|投稿日時:2006/10/26 15:21
2006/10/04 11:05

アメリカ公演での舞台仕込み

今回は、アメリカ公演での舞台仕込みについて書いていきます。


ニューヨークのジョイス・シアターやロサンゼルスの日米劇場などの劇場には、ユニオン(労働組合)のシステムがしっかりと根付いていました。


このユニオンのシステムがない日本の劇場の場合、劇場の方に許可をもらえれば機材や舞台装置に触れることができますが、アメリカでのユニオンシステムでは、自分たちが持ち込んだ美術や機材以外、劇場に備え付けの音響や照明機材、舞台装置などには原則的に一切手を触れることができません。


[写真]ロープ(綱もと)を操作するスタッフ
舞台サイドにある照明や美術幕を吊るバーを上げ下げするロープ(綱もと)を操作するスタッフ(ジョイス・シアター:N.Y)


又、ユニオンシステムがあるなしに関係なく、公演をする劇場へ事前に舞台美術プランや照明プランを図面におこし舞台仕込み内容として送りますが、その劇場にユニオンシステムがある場合、自分たちでの作業範囲が限定され劇場スタッフに任せるかたちになりますので、このプランの伝達は大変重要となります。


そのために公演をする劇場の舞台とサイズが同じか、近いホールなどを借りて舞台美術をどのようにするか何度もシュミレーションをして舞台美術プラン図面を作成します。
 

舞台仕込みは、事前に送ったそのプラン通りに行われますので事前の舞台美術シュミレーションも限りなく本番に近い状態で行います。
(このシュミレーションについては、後ほど記していこうと思います。)


現場では、スタッフの方々に自分たちがやりたい内容を限られた時間内に的確に伝え、理解してもらうことがまず第一の仕事です。


又、ユニオンのシステムは、休憩などを含む就業時間についてもきっちりしており、たとえば照明の吊り込みが途中でも時間がくればそこで終了です。
 

とってもシビアです。
 

しかし、そこはさすがプロ。就業時間内にきっちり作業を完了してくれるのです。


[写真]照明の吊り込みをするスタッフ 
照明の吊り込みをするスタッフ(ジョイス・シアター:N.Y)


ユニオンのスタッフは、システマティックで事務的に捉えられそうですが、今までの公演では、我々の創作に対し、とても真摯に対応してくれて納得がいくまで作業をしてくれました。


公演の舞台が出来上がるのも、スタッフの方のプロ意識によって作られていくのですね。

執筆:入澤サタ緋呼|投稿日時:2006/10/04 11:05