舞台美術録
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入澤サタ緋呼
1988年友惠しづねに師事。舞踏家。舞台美術の制作にも携わる。'90年アメリカ政府・USIAプロジェクトによりMore...
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舞台美術紹介 Vol.1続編 ススキの巻
舞台美術紹介 Vol.1の続編です。
1話目はこちら↓
「舞台美術紹介 Vol.1」
公演当日。
車で広大に生い茂る多摩川の河川敷のススキ野原に向かいます。
公演が行われたのが9月下旬の秋ということもあり、めいっぱい成長したススキの長さは、約2メートル程にもなっています。そんなススキ野原に埋もれながら、また生えてくるように根っこを残し、その日の舞台に必要な分量だけ刈り取ります。
ススキが折れないよう大切に車に積み込むと、アッと言う間に車内に蒼い香りが充満し、とてもすがすがしい気分にしてくれます。今で言うならアロマ効果と言うところでしょうか。
蒼い香りに包まれながら、劇場へ向かいます。
劇場に到着すると今度は、ススキを搬入口からビルの8階にある劇場まで搬入エレベーターで往復を繰り返し、やっと搬入終了。
フ〜ッ、汗。
舞台美術についてもアートディレクターであるTOMOE SHIZUNEの指揮のもと創られますが、ススキを挿す作業の際にもその目は光ります。
私がススキを何本かまとめてザバザバ挿していると、一本、一本ずつ丁寧に挿していくようにと指示が入ります。私のような挿し方だとススキの立ち並び方やしなだれ方がどうしても雑に見えてしまうのです。
ススキを河川敷にあった時のように自然に見せようとするのですが、ただでさえ自然にするなんて難しいことを簡単に考えていたことに深く反省し作業を進めるのであります。
実は、この公演の会期と同時期に、イラク・バクダットでの国際フェスティバルにも招聘をいただき、カンパニーの数人のメンバーとスタッフがイラクに行っていたため、残ったメンバーは、ねこの手も借りたい状態だったのですが、無事タイムテーブル通りに仕込み終了。
舞台には、ススキの蒼い香りが劇場内にほのかに漂い、照明が入ると背景の染めた美術パネルがジワーッと発色し、月夜の景色のようなステージに早変わりします。
このような舞台美術の中、踊りと音楽が織りなすスリリングなステージをお客様に楽しんでいただいた三夜でした。
完。
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